ディオールよ、調査兵団に入らないか
鼻水巨人と戦う
子育てをしていると、服に悩む。
最近、たんげと飲みながら、そんな話をした。
僕のクローゼットは、それなりにハイエンドな服と、ユニクロやUnited Tokyoなどの、比較的気安い価格の服のふたつに極端に分かれている。こどもがいると、ハイエンドな服は着づらい。ムスメは人の服に鼻水をなすりつけるのが好きだ。こちらの「うぉーい!」という反応を見て、ゲラゲラ笑っている。全く悪趣味である。
せっかく買ったロエベのジーンズに、鼻水を付けられたくはない。それが人情だ。でも何故か、ある時を境に、まあもう良いか、と思える瞬間がくる。生活の中で構わず着倒してこそ、真の意味で「服」たり得る。
前述のロエベのジーンズは、いつからか、すっかりそうなったしまった。砂だらけの靴を履いたムスメを抱っこして、汚れる、それが日常だ。そうなった服たちは、心強い。正規の自分の相棒という感じがする。足に鼻を垂らしたムスメがじゃれ付いてこようが、もう為すがままだ。
こうなった服たちのことを、僕は「調査兵団」と呼びたい。最前線で汚れ役を引き受け、人類のために尽力する、タフな奴ら。安全な城壁内に安寧することを捨て、野蛮な巨人の待つ戦場出て、汗と血に塗れる道を選んだ。こいつらは、面構えが違う。
六本木のエストネーションで時間を掛けて選び、思い切ってクレジットカードを切った僕のロエベは、買った当時といまでは、すっかり面構えが違う。

一方で、クローゼットの中に、買ってから10回も脚を通していないであろう、ディオールのジョガーパンツがあることに気がついた。こいつはまさに憲兵団だ。エリート気取りで、内地で快適に暮らしている。鼻水を垂らす巨人と対峙したことがない。

ジャンは憲兵団に入るために、兵団の数々の試験をくぐり抜け、憲兵団の入団資格を勝ち取った。エリートとして暮らすチャンスを得たのだ。
しかし、彼は、悩み抜いた末に、調査兵団に入ることを選んだ。
オレは決めたぞ..
オレは…オレは…..調査兵団になる―― ジャン・キルシュタイン(進撃の巨人 第18話「今、何をすべきか」 )
鼻水を付けられ、砂場で泥を掛けられ、寝かしつけでクシャクシャになる。そんな壁外調査の道を選んだのだ。素敵な生き様じゃないか。ディオールよ、お前もそのクローゼットの奥から出て、ジャンのように生きてみないか?
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※ 読者の皆さんお気づきかわかりませんが、土曜日は僕の中で「特に適当な記事を書いてよい日」という位置づけになっております。ご容赦ください。
良ければ過去の記事も併せてお読みください A Voundaly by Hikaru


いいジャン