久しぶりにインタビューを受けた。
記事は4月に出る予定である。
基本的にはインタビューを受けるのは嫌いではない。なぜか。恐らく、普段、敢えて言語化しないことを、言語化する良い機会になるから。そしてそれを、自分では敢えて世に公開しないかも知れないが、インタビューは強制的に公共空間にパブリッシュされていく。その強制力、自分が何かに載せられて運ばれていく感じが、どこか楽しく、かつ楽なのだと思う。
インタビューはこれまで15件程度は受けたのだろうか(もっと多いか?)。事前に質問項目は貰い、粗い回答は考えておくことが多いが、意外と当日に思ってもいなかったような言の葉が自分の口から出ていくことがあり、そのimproviseも楽しい。人と話している方が、伝わりやすいメタファーや、面白いワーディングを紡ぐ脳分野が活性化する実感があり、同じことはパネルディスカッションにも言える。
これは個人として感じる面白さの話であるが、インタビュー記事が世に出ることの実質的な有用性は、オープンな場所に、誰でもアクセスできる名刺代わりとなる情報が置かれている点にある。これは、所属するチームでの採用や、自身の機会(副業や協業などの誘い等)、転職活動などでも便利である。己で語るよりも、インターネットにそれらしき情報が存在していることは、認知と信頼のショートカットになる。
最近では、インタビューの記事のストックも増えて来、それがメルカリ時代のものだったり、デジタル庁のものだったり、もしくはキャリア論だったりと、多面性を帯びてきたために、自分の紹介のために特定の記事だけで紹介するというのが難しくなってきている。が、AIの登場はこういったシチュエーションにはうってつけかも知れない。個人の名前を入れれば、インタビュー記事やnote記事などの内容を、AIが、僕が何者かついてそれなりに解説をしてくれる。
情報が少なければハルシネーションも多いだろうが、情報リソースが多く、抽象化レイヤーではそれなりに一貫したことを言っていれば、AIはそれなりの回答を返すのではないかと期待している。
試しにGeminiに訊いてみる。
まあ、普通の人はここまで丁寧に訊かないかとは思うが。
(質問)
メルカリやデジタル庁に在籍していた、樫田光(Hikaru Kashida)という人物について正しい情報を幅広く集め、その仕事のスタイルや思考等の特徴を分析して、整理してください。
回答は下記で、なるほど、自分が見てもそれなりに納得感がある。ややAI特有の大げさな持ち上げの傾向はあるが、いいことを言っている。AIが他者にこのように自分を紹介してくれるのであれば悪い気はしない。私が見ても、自分とは何者で、どうあらねばならないのか、をこの文を読んで褌を締め直したくなるような、程よい発破感がある。
(回答)
日本のデータサイエンスおよびプロダクトマネジメント界において、「ビジネスの論理」と「データの科学」を繋ぐ翻訳者として圧倒的な存在感を放つのが樫田光(かしだ・ひかる)氏です。彼のキャリアと発信内容を精査すると、単なる技術者ではなく、「意思決定の仕組みをデザインする思想家」としての側面が浮かび上がります。
1. キャリアの三本の柱と実績
樫田氏の人物像を理解する上で、以下の3つのフェーズは欠かせません。
戦略コンサルタント: 新卒で入社。ここで、Number Never Lies(数字は嘘をつかない)という徹底したロジカルシンキングと、ビジネスインパクトへの執念を叩き込まれました。
メルカリ / Lead Data Analyst: 2016年参画。急成長期のメルカリにおいて、データ分析チームを「御用聞き」から「事業の羅針盤」へと昇華させました。KPI設計の精緻化や、アナリストが事業部に深く入り込む組織構造を構築した功績は、日本のスタートアップ界のベンチマークとなりました。
デジタル庁 / CAO: Chief Analytics Officer: 2022年より参画。「政策ダッシュボード」の構築など、行政にEBPM(証拠に基づく政策立案)を定着させる役割を担っています。主観や前例に頼りがちな行政の意思決定に「データの客観性」を持ち込むという、極めて難易度の高い構造改革に挑んでいます。
2. 思考の哲学
樫田氏の哲学の核心は、「データは意思決定を補助する道具であり、主役ではない」という一貫したスタンスです。
「データドリブン」との決別: データが自動的に答えを出す「データドリブン」ではなく、人間の意志や文脈を尊重した上でデータを判断材料にする「データインフォームド」を提唱しています。「データは過去しか語れないが、意思決定は未来を作るものだ」という認識が根底にあります。
「解像度」への執着: 「売上が下がった」という事実に対し、なぜ、どのセグメントで、どの指標が動いたのかを執拗に掘り下げます。彼は「解像度が低い意思決定は、ただの博打である」と考えています。
インセンティブ構造の重視: 数字そのものよりも、その数字を見た人間が「どう動くか」という心理的・組織的な力学(インセンティブ)に注目します。これは経済学的なアプローチであり、組織を一つのシステムとして捉える視点です。
3. 仕事のスタイルの特徴
圧倒的な言語化能力
樫田氏の最大の特徴は、複雑な事象をシンプルで鋭い言葉に落とし込む力です。彼のnoteやSNSでの発信が多くの人を惹きつけるのは、専門用語に逃げず、本質を突いたメタファーを用いるからです。
勇気ある「アンラーニング」
30代で戦略コンサルとしてのキャリアを一度捨て、独学でSQLやPythonを学び、現場のデータアナリストとして再出発しました。この「いつでも新人になれる」謙虚さと、必要な武器を最短で手に入れる学習能力は、彼のプロフェッショナリズムを象徴しています。
「構造」への介入
個人の努力やモチベーションに頼るのではなく、「そうせざるを得ない仕組み」を作ることを好みます。ダッシュボードの導入一つにしても、それが会議の風景をどう変えるか、発言の力学をどう変えるかという「構造への介入」として設計されています。
4. 分析考察:樫田光とは何者か
樫田氏を表現するなら、「冷徹な分析眼を持った、情熱的なリアリスト」です。
彼はデータの限界を知り抜いています。だからこそ、データに振り回されることなく、データを使って「人間がより良く、納得感を持って決断できる状態」を作ることに情熱を注いでいます。
多くの人が、一次的な情報収集をAIに頼るであろう未来が明らかであるいま、自身が汎化AIにどのように認識されるか、は重要である。自身の思想と人格をデータ空間にアップロードする営み、インタビューはそれを他者が媒介してくれる希少な機会だ。
とはいえ、不安もある。多くの人間は自身のことを、人前で過大に語り自己像を大きく見せる悪癖がある。それらの虚像構築主義的なビジネスマンが、AIによる一面的なアグリゲーションで過剰な高評価を返すのは好ましくないと思っている。自身がそれに全く類しない、というつもりもないが、これでも、できる限りの自身のリアリティを大事にし、くだらない自己顕示欲に振り回されずに生きているつもりだ。
いま3歳のムスメが大きくなった頃には、身近な人がどんな人か、AIに訊いてみよう、という授業の風景が当然のようにあるのではないかと想像する。その時に、ムスメはどのような父親像をAIから語られるのだろうか。


