先月、ChatGPTを解約した。
Geminiを使うようになって、殆ど使わなくなったから、というのと、OpenAIのアメリカの国防総省との契約を巡る解約運動があったので、丁度良い機会だったので、その流れに乗って、という感じ。
惰性で使っていたが、コンテキストが一定を越えると重くなり、期待していたChatGPT Atlasの挙動も不安定で、不満があった。Geminiが普通に有能なので、そちらに乗り換えている。
AIの進化に一喜一憂するのは(及び、一喜一憂して騒いでいる人たちを見るのは)疲れるので、AIに関する議論については適切に距離を取りたいと思っている。
そんな僕でも、気になっていることがある。OpenAIは大丈夫なのだろうか?ということだ。年間で百億ドル単位の資本を燃やし、時価総額が100兆円を越えているというのに、まともな収益モデルがあるようには見えない。
一部のサービスの閉鎖など、ポートフォリオのリストラクチャを進め、料金プランにも手を入れようとしている。期待だけで投資していた時期から、現実的な収益を見越す時期に、徐々に移行しているのであろう。
ChatGPTは、一般利用者向けの急激な普及で注目されたが、ソフトウェアの純粋なC向けでの収益化というのは、難しい。ソフトウェアがもたらす実質的な価値と、消費者が支払う、支払い意思(Willing to Pay)の金額は、アラインしない。
不思議なものだが、本やコーヒーに月に数千円を平気で払っていても、1000円を超えるサブスクサービスには、抵抗を感じる人が多いように思う。殆ど読まない新聞は、購読料4000円を平気で払っていても、Newspicksに毎月1600円払って有料会員になるのは、及び腰になる。
あれほど、多くの時間を費やしているNetflixでさえ、1500円程度の料金が高いという声が多く、広告アリの廉価モデルが導入された。Youtubeも、どれだけの量の広告を通算で見ているだろう。Youtube Premiumの$10が取るに足らないとは云わないが、下手な啓蒙本(大体、1680円くらいする…)を毎月読むよりは。よっぽど人生が効率的になる。
デジタル・コンテンツが、元来から無料のものが多いせいだろう。デジタルやソフトウェアは、物理的な財貨と比べて、消費者の値付けが、不合理に安くなりがちだ。
AIも、例外ではなさそうだ。うまく使えば得られる価値は知れないのに、月に$20の支払いは多くの人にとってギリギリだろう。いくら実質の価値を増したとしても、より高い金額を払ってくれる人が増えるイメージは、持てない。
もちろん、OpenAIはB向けの展開を、必死になってやっているであろう。しかし、GoogleやAnthropicに遅れを取っていることは間違いない。C向けで先行したことは、(初期は知名度面で微小にはあったかもしれないが、)事業者向けの展開に優位性をもたらさない。
思考実験的に、OpenAIのように、一般利用者の数が多いプラットフォーマーが、そのユーザベースを支出に変える術を考えてみる。
近年の新技術であるスマートフォンには、数万円〜十万円超えが支払われ、これを、それなりの頻度で買い替えている。
AIにも、同じような金額感の支出を期待できるだろうか?スマホは、その機能性だけでなく、「常に持ち歩く」「全てが入っている」「人と連絡するポータルになる」という意味で、個人のアイデンティティと結びついている。
アイデンティティとの接続は、課金額を上げる上で重要なように思う。ただ、物理的でOwn(所有)であるスマートフォンと、非物理的でRent(利用)であるAIの間の差は大きい。AI単体よりは、別のデバイスやPFとの連結が有効であろう。
また、AIが、エージェント的に買い物を請け負うようになれば、買い物のトラフィックの一部を、手数料のような形で受け取ることが出来るかも知れない。この場合、買い物手数料を個人側に請求するのはナンセンスなので、Shop側に紹介料として課金するだろう。トラフィックが圧倒的であれば、この紹介料はいずれShop側が飲まざるを得ない世界観になるが、少し時間がかかりそうだ。本格化すれば、Amazonも黙ってはいないだろう。
そうなれば、AIを自社の商品に誘引するための、Ad for AIのような技術も繁栄するかも知れない。これは、いまのところだとGoogleが強そうだ。
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などと、つらつら考えていて、やはりOpenAIが今のバーン・レートと、市場期待を背負ったまま、長期で独力で生きていくイメージを、余り持てない。
とはいえ、その機微性から、外資によるM&A等は、政府が許さないだろうから、どこか米国内の企業に、二束三文で救済買収をさせるだろう。OpenAIにはほぼ主導権はなく、買収側に取って価値があるコア以外のアセットについては徹底的なコスト圧縮がされ、サービスと部門のリストラが吹き荒れるだろう。リーマン・ショック・コンフィデンシャルのAI版である。
AI市場の失望にも繋がるだろう。
この未来はいつ頃、訪れるであろうか?
足が早く、生き馬の目を抜くAI業界のこと、そう遠くもないような気がしている。
※ この記事を書いていたら、ちょうどシバタナオキさんが、このような投稿をされていた。やはりOpenAIの去就を心配する人は多いようだ。
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