映画の、あのワンシーンみたいなことを、してみたい。
そういう願望を抱く人は少なくないと思う。上司からの電話を、噴水の中に投げ捨てる。チーズバーガーをスプライトで胃に流し込んで、銃を打つ。NYの素敵なカフェで、朝食をする。浅草の駅中の居酒屋で飲みながら、行き交う人を眺める1。クラシックカーで、夕焼けのアメリカの国道を走ってライブハウスに行く。
パジャマのままで遠くまでで、ジョブスの正確な台詞を確認しようと思って、久しぶりにそのまま、映画Steve Jobs2を見てしまった。
その中で、最高にクールなシーンがあったのを思い出した。
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ジョブズが、その素行の悪さから、Apple IIの開発責任者をクビになり、窓際の製品開発部署に島流しされる。この製品はのちのMackintoshとなるが、その時点では、日陰の小規模チームに過ぎない。
ジョブズは、まず、なにをするか。
彼は、社内リクルーティングに乗り出す。評判のいいプログラマの席に歩いていき、挨拶もなく、いきなりこう訊く。
「お前はとびきり優秀か?」面食らいながらも、プログラマはこう応える。「ええ、まあ。」ジョブズは続ける。「創造的か?」「…ええ、そう思いますけど。」
満足したのか、その瞬間、プログラマが作業していたPCの電源コンセントをブチッと抜き、ただ一言。
「Welcome to the Mackintosh Team.」
無茶苦茶である。本人の意思など、関係が無い。
これを、一度やってみたい。
こんなに露骨なことはしていないにせよ、よく考えてみると、デジタル庁の僕の今のチームは、似たようなものである。僕の直の配下に、3人の部署統轄がいる(デザイン、エンジニア、PM)。この3人はチームの初期メンバーでもあるが、この全員が元来別のチームにいたのを、口説いて掻っ攫って来た。
もちろん、ジョブズのように、「Welcome」の一言だけで、突如誘拐するわけには行かない。それなりの丁寧に調整を行い、チームを移ってもらう。
もちろん、引き抜かれる側のチームはいい顔はしない。しかし、僕の横で、ジョブズが囁く。「(sj) そいつはとびきり優秀か?」「そう思うよ」「(sj) よし。明日からチームに入れろ」「明日は無理だけど、どんな手を使ってでも、そうするよ」
僕は、優秀な人を採用して一緒に仕事をするのが好きだ。
それは社内にいても、社外でも変わらない。コイツは、と思う人を見つけ、見極め、一緒に働いてくれるよう、熱意を持って口説く。同じ組織内にいれば、チームが違っても、多少は実際に一緒に働いてみることが出来る。その分、その人の優秀さに確信を持って惚れ込めるので、リクルーティングにも熱が入る。
しかし、許されるのであれば、ジョブズのように、誰の許可も本人の希望も関係なく、コンセントを引き抜くように一瞬で、メンバーを自由に引き抜いてみたい。
Perfect daysは憧れるシーンが多かった



今までなんとなく憚られていたのですが、優秀な人と働きたい、という欲求を表現してもよいかもしれない、と気づきを得ました。
ジョブズ式の「Welcome」は、現実でやると完全に事件ですが、優秀な人を見つけたときの引力はよくわかります。
チームづくりって、結局は配置図ではなく、惚れ込みの連鎖ですね。
コンセントは抜かないまでも、心の中では何本か抜いている気がします。