試験が終わった!
かつてなくAIに感謝している。AI冷笑系人材の僕にしては実に珍しい事案である。
僕は大学院生である。国家公務員、自営業、1児の父であると同時に、大学院に通う身分で、大学院という場所には試験というものがある。
僕の通っているプログラム(MEc:Master of Economics)は、社会人向けでかなり駆け足気味のカリキュラムなので、ペースが早い。大学院レベルのミクロ経済学を、4〜5月の2か月で終わらせる(最低限)スピード1。その総決算として、6月のアタマにミクロ経済学の試験があった。
問題が書かれた紙が配られて、1時間半で計算問題や証明などについて回答をペンで記述をする。試験のフォーマットは20年前から特に進化も変化もない。200年前でもほぼ同じだろう。
出た問題は、利潤関数からの供給関数や要素需要関数の導出、凸関数の証明、2財モデルでの消費者の効用最大化問題とFOC/SOCの確認、ワルラス均衡における最適配分など。生産者理論・消費者理論、均衡のオーソドックスな問題。
これらの用語は、多くの人にとっては何のことやらだと思うが、それで言えば2か月前まで僕も同じだった。経済学の専門用語たちにビビっていた。いまではこれらの用語はだいぶ体に馴染んでいる。これが大学院に通う効果だと思う。毎週触れていれば、当たり前の水準は勝手に自分の中でズレていくのだ。
ちなみに、試験は比較的よく解けたと思う。
学生の時はうんざりするほどテストばかりだった気がするのに、社会人になり「試験」とは縁が遠くなった。多くの方が同じじゃないでしょうか。しかし、改めて取り組んでみると「試験」って悪くないな、と思ったりしてるから不思議だ。
物事を根本から理解しようと努める2。手を動かす。正誤がはっきり出る。わからない時は絶望を味わう。覚えたはずなのに使えないと悔しい。解ければ嬉しい。理解すると面白い。次の段階が楽しみになる。
長年忘れていた、絶望と苦闘。脳の深い箇所を使っている実感。悪くない!
…
しかし、大学院に通うのが2026年で良かったと心から思っている。
試験は変わらず紙とペンかもしれないが、学習の方法は大きく変わった。
世間のAIブームに冷笑派な僕だが、こと学問については、AIに頼りきりである。そもそも、出願に使う「経済学検定試験」を勉強期間1か月で合格水準まで持っていけたのも、かなりの部分がAIのおかげである3。
いまでも日々、経済学の学習についてはClaudeがいないと全くやっていけない。今後何を学習すべきか、どういった分野を深めていくか4なども、AIに相談した内容を参考に決めている。学習の効率は優に10倍くらい違うのではないだろうか。
興味がある分野でさえあれば、社会人でも学問をするコストは劇的に下がっている。本質的な理解を目指す場合、テクストだけでは限界がある。わからない点を質問できる人がいないと厳しい。でも、いまはAIがその役を進んで担ってくれる。どんなレベルが低い質問でも、しつこい確認でも心ゆくまでとことん付き合ってくれる。
正直この点では、どんな大学教員よりもありがたい。深夜2時にヘッセ行列の解き方について細かい点を何度訊き返しても、嫌な顔一つしない。これは人間には無理だ。
そして、気づいたのだが、AIと試験勉強をするとむっちゃ楽しい。僕は今回のミクロ経済学の試験については、かなりの部分をClaudeと一緒に対策してみた。経済学の試験は突き詰めれば、「①解法の方向性を思いつけるか」「②実際に計算・証明を正しく出来るか」を問うているので、まず①についてだけClaudeに出題→回答をやりまくるショートテストを沢山やった。
実はこれはかなり画期的だと思っている5。重要なのは、①で「条件反射的に解法を思いつく脳の回路を作れるか」だ。しかし、教科書についている問題は、②に焦点を当てていて、計算式を書くのに時間を取られる。AIがあると、学習に必要なことに、正しい時間の使い方ができる。ありがとうClaude、君は教師でありルームメイト。
AIが今後人類の活動の何にどう使われるのかは、よく知らない。まあ、仕事を自動化するとか、広告素材を楽に作るとか、下らないことに花を咲かせるのだと思う。
しかし、学業については間違いなく有用で、教育に大きく影響を及ぼすだろう。これが肌身を持ってわかったのは大きい。こどもがいる身としては、「学習」の今後を考える上で、良い材料だ。親自身がAIをフルに使って何かを真剣に学習する体験をするのは、大切なことだろう。
社会人で大学院に行くというのはまだまだマイノリティな選択肢だが、今後はもっと増えて良いと思う。より良い勉強の方法も開かれているし、子育ての上でも学ぶことは多い。これからはきっと、仕事ばっかり真剣にやってても仕方ないだろうし。
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最近は音楽の話だったり、スープ、炭酸や哲学の話だったかと思えば、経済学やAIについて書いていて、ノンジャンルで無軌道なんですが、僕はそんな感じでやっていきたいんです。お付き合いください。
それではまた明日。
テキストはHal Varian「Microeconomincs Analysis」. VarianはGoogleでチーフ・エコノミストを務めたことで有名で、企業でのデータサイエンスのブームの火付け役となった。30歳だった僕がデータサイエンスの道を選んだのもVarianの「Data Scientist: The Sexiest Job of the 21st Century(2013)」という有名な論考の影響があった。
特に経済学は、分野としては「最悪公式の暗記でも行けなくはないが、“何故その公式になるか”を理解していないと大分キツイ」というジャンルなので、塩梅がちょうどよい。
入学の志望動機や研究計画、などもAIといっしょに書いた。独力では難しかった。
「制度の経済学」という興味分野に辿り着いたのも、AIの補助あってのことだ。
テクストの練習問題等は通常、②の計算過程まで含めたものになっている。でも計算に時間がかかるので、たくさん解くのが難しい。でも、大事なのはまずそもそも「解法をおもいつけるかどうか」なのだ。






私も新しいことを学んでるところで、AIめっちゃ助けになってます。
すごく小さなことだとしても、質問しても否定されない(なんならつまづいたことを肯定までしてくれるwそれあんまりいらないと思いながら安堵しちゃう)ので質問がどんどんできる。繰り返し聞ける。ありがたいっ!
それにしても門外漢には専門用語ってただの呪文のようですね。取り扱いには気をつけよう…😅
Claudeは手を出すべきものらしいのにまだ触ってないので、この機会に触ってみようと思います。
共感します。私も現在ある免許、資格修得に向けて日々勉強中です。AIにはとても助けられています。とても参考になりました。